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さて、前の部屋では、クルマは勝手に荷重移動をおこさない、だからドライバーが今クルマにかかっている荷重を思った通りに移動することができるという話をしました。
思った通りということは、そのイメージを間違うと、期待する荷重移動ができないということです。また、アクセル・ブレーキ・ステアリングなどの各操作の連係が的確でないと、思った通りの荷重移動がおこりません。もちろん、乗っているクルマの特性によっても細かい操作は変わります。
では、ここで具体的な操作の例を挙げて、荷重移動の方法についてお話したいと思います。
先日、富士スピードウェイのジムカーナ場で行われたジムカーナの練習会で、DC2のN2車輌を駆り中部地区の競技会に参加している大須賀選手の横に乗る機会がありました。彼は去年(2004年)のJAF・CUPジムカーナにも参加した実績を持つ実力派若手(そろそろ若手じゃなくなるけどね!笑)ドライバーです。
さて、スタートからゴールまでのすべてのコーナーを例に挙げるわけにはいかないので、大須賀君と私の運転で荷重移動のイメージ&実際の操作でもっとも違いがでたコーナーを例にとってお話しします。
このコーナーは2速で1本目のパイロンを進入しながらブレーキング、2本目のパイロン手前で1速に落としてクリアする2本のパイロンで作られた、結構いやらしく回り込んだ右コーナーです。
1本目のパイロンに進入するポイントぎりぎりまでアクセルを踏んできて、右にステアリングを入れる瞬間にアクセルオフをして加速のためにリヤに移っていた荷重を、ちょこっとフロントへ持っていくイメージでアプローチします。で、クルマの向きが変わりだしたら、ここでブレーキをかけます。アクセルオフによって、フロントへ荷重が移動しているところへブレーキングするので、今以上の荷重がフロントにかかります。当然、リヤの荷重は小さくなります。ここで、ブレーキングが強すぎるとフロントタイヤがロック(またはロック気味)してしまい、折角かかった荷重が抜けてしまいます。これでは、上手くクルマは曲がってくれません。大須賀君は、ここでフロントタイヤをちょこっとロックさせてアンダーを出してしまいました。
さて、同じDC2を私が運転した時には、大須賀君よりも、ほんのちょっと弱めにブレーキングをしました。1番フロントタイヤにグリップして欲しいポイントでフロントタイヤをロックさせないようにするためです。しっかりと調度良い荷重がのったフロントタイヤはしっかりとグリップしてインに向きを変えていきます。
その瞬間に荷重が少なくなったリヤタイヤはスライドを始めようとします。その状態でブレーキをもう少し強くかけると(2段階ブレーキング)、その分だけ(ここが重要!)リヤタイヤはスライドを始めてくれます。そして、アクセルオンによって、前後の荷重をバランスさせてトラクションをしっかりとかけながらクルマの向きをコントロールしてあげれば、ストレスの少ない速いコーナーリングが可能となるのです。もう少し、このDC2のリヤブレーキの効きが強ければ、大須賀君も比較的簡単にテールスライド状態を作り出せたと思いますが、リヤブレーキの効きの強さだけでリヤをスライドさせると、しっかりと荷重移動ができていない状態でヨー変化が起きてしまうので、その後のスライドコントロールが、荷重移動だけで行うことができなくなり、大きなロスとなってしまうのです。
大須賀君のDC2のブレーキバランスは、ほんの少しフロントが強めにセッティングされていますので、リヤタイヤもロックすることはありませんでしたが、欲を言えばもう少しだけフロントのロックするポイントを奥に持っていった方がバランスはいいかな?という感じです。
私は、とりあえずフロントタイヤをロックさせずに荷重移動を行うことができましたが、このあたりは、もうちょっとセッティングを煮詰めた方が走りやすく、センサー感度も向上できると思いました。
話が逸れてしまいましたが、大須賀君と私の運転の違いは、向きを大きく変えるポイントの直前での荷重のかかり方なのです。大須賀君が強いブレーキングによって、もう荷重移動ができない状況を作ってしまったポイントで、私は更に荷重を移動できる状況を作っていたということです。
また、このコーナーでは、特に初・中級者の人にみられる状況として、1本目のパイロンで向きを変える時にブレーキをかけてしまい、コーナーへ進入するスピードが落ちて、荷重移動が十分にできなくなってしまっているということがあります。
この状態でアクセルを踏んでも、スムーズに向きを変えながら加速することは不可能です。
ゆっくりとタイヤのグリップを超えないようにアクセルを開けるしか方法は残されていないのですが、スピードが落ちてしまったのが解るので、反射的にアクセルオンが激しくなってしまい駆動輪がホイールスピンしてしまうことがあります。当然、トラクションは失われるので加速が悪くなってしまいます。あ!オーバースピードで進入して始めからアンダーを出してしまった場合は最悪です。心当たりのある人は気を付けてくださいね!
大須賀君は、アンダーが出た瞬間にブレーキを緩めてちょっとステリングを切り足して早めにアクセルオンをしていたので、クルマはしっかりと加速していましたが、アクセルオン時の車速が落ちてしまっていることには変わりはないので、次のコーナーへの到達スピードは今一で、立ち上がりのラインも膨らんでしまいタイムロスは免れません。ここで強引に小さなラインへクルマを持っていこうとすると返って車速が落ちてしまいます。
もちろん、これらのロスはほんの僅かなものです。でも、この僅かなロスがタイム差となって現れるのです。
このような状況になると次のコーナーでもブレーキングが遅れて2重のタイムロスとなる場合が多いのですが、大須賀君はさすがに次のコーナーでは、的確なブレーキングの量で上手く荷重移動をかけ、スムーズにコーナーリングしていました。まあ、次のコーナーがスピードの乗った中速コーナーということもありましたが(笑!彼はこういうコーナーは得意です)。
ブレーキをかけるポイントと強さは、何回か同じコーナーを走っていればそれなりに解ってきます。でも、コーナーへ進入する手前から、いつでも好きなだけ荷重移動できる状態を作っておけば初めて走るコーナーでも、初めて走るクルマでも(さすがに1度目は様子を見ますが!笑)理想なラインへクルマを進めることができるようになるのです。
さて、簡単に荷重移動についての話をしてきましたが、こうやって文章にしてみるとホント言葉では説明しにくいなぁと思います。文章作りがヘタということは置いといて(笑!)
百聞は一見に如かずと言います。まずは、前の部屋に書いてあるように、荷重を移動させるということをイメージして実際に走り込んでください。
そして、走り込む時にはできるだけ、この荷重移動が解りやすいクルマに乗ることをお勧めします。
ガチガチの動きのクルマやフワフワのクルマは、イメージが作りにくいのであまりお勧めできません。
調度良く動いてくれるパートナーと走り込むことが1番の上達への近道なんですよ。
あれ?どこかで聞いたことがあるようなセリフですね♪(笑)
この日、私は大須賀君に、荷重移動以外に、もう1つ大須賀君に足りないことを説明しました。彼が、そのことをどれだけ理解して実践できるか?は今年の彼の成績が物語ってくれると思います!
果たして♪ |